なぜ吸収されるヒアルロン酸を使う?
吸収されることは安全性の裏返し
コラーゲンやヒアルロン酸、カルシウム製剤など、さまざまなしわ治療の皮膚充填素材(フィラーと呼びます)がありますが、すべてある程度の期間で吸収されるような素材を使用しています。
なぜ?
いい効果が出るなら持続期間は長い方がいいと考えるのが自然です。
しかし、あえて期間限定にしているには理由があります。
安全性のためです。
これらのフィラーはゼリー状ではありますが、液体です。液体だからこそ、メスで切るような手術をしなくても注射で簡単に入れることができるのです。
液体は浸透や拡散するという性質を持っています。
つまりヒアルロン酸などのフィラーは組織に浸透したり拡散する可能性があるということです。
このような性質をもっているため、いったん組織の中に入れられたフィラーは完全に取り除くことが難しいのです。
仕上がりも良好で、何のトラブルも起きていない状況であれば、長い期間残存していても特に問題ないのですが、いざ何らかの合併症が起きたときに除去できないというのは大きなマイナスになるのです。
身体に吸収されてなくなるということは、ある程度身体に優しいということを意味します。
つまり吸収される素材はトラブルが起こる可能性も低いということです。
そしてアレルギー反応など、万が一のトラブルの際にも、ある程度の時期が来れば吸収され消失するためトラブルが永続的になる可能性が低いです。
わざわざ吸収される素材を使っているのはこのような理由があるのです。
このような考え方に基づけば、永続的に体内に残存するものは、手術などで完全に除去可能な(液体ではなく)固体である必要があるといえます。
美容外科において、鼻や顎、胸に使用するシリコンプロテーゼなどが、固体であるのはこのような意味があります。
体内で吸収されず永続的に残存する素材(液体)を注射で注入することが大きなリスクを伴うことが理解できます。